ミノタウロスの皿 (小学館文庫―藤子・F・不二雄〈異色短編集〉)(藤子・F・不二雄)
すみません。もう謝るしかない。藤子は大人向け短編がすごいと聞いていたのですが、まだ読んでいなかったのですよ。 30代になってから、「さようならドラえもん」を再読して号泣したこともあるし、ドラえもんで最も短い話はと聞かれても「全2ページの『ボールに乗って』」と即答できる自分はわりとちゃんとした藤子ファンだと思っていたのですが、基本はキャラ設定ベースの人なんでしょ、と軽く見ていた部分があるのかもしれない。いやはや反省。
収録作品のなかでも、トリビアの泉でだいぶ前に紹介された「劇画・オバQ」はすばらしい。記憶が定かでないのだけれども、トリビアでは重要なエピソードを一つ飛ばしてストーリー紹介していたような気がする。
あとは「じじぬき」がすごい。二転三転の確かなストーリー展開。この話に限らず、全般にある種の達観の混じるブラックジョークが冴えている。たしかにそういわれればドラえもんにもこのタイプの話は混じっていた。「独裁スイッチ」あたりは近いノリだが、あれは救いがあったからなあ。
このシリーズ、ちゃんと読もう。